東京都が18歳未満への販売を禁止する図書を公表する際に使っていた「不健全図書類」の表記をやめたことについて、漫画「はじめの一歩」の作者森川ジョージさんら、見直しを求めてきた漫画家と関係者計10人が13日、都庁で記者会見し「東京は変わった。動きが全国に波及してほしい」と期待した。
会見に出席した星崎レオさんは一昨年、過激な性描写を理由に作品を不健全図書とされ、大手通販サイトの自主規制で成人も買えなくなった。交流サイト(SNS)で「性犯罪者」と攻撃され、性表現を含む漫画を描けなくなった時期もあったという。「とんでもない本を出していると誤解されていた。先入観のない表記になった」と歓迎した。
「不健全図書」の変更を歓迎した漫画家の森川ジョージさん(中)ら=13日、東京都庁で
都は9日から、都青少年健全育成条例の関係項目に合わせ「第八条の規定による図書類」との表記に変えた。見直しは「成人への販売にも悪影響を与える」などとして、漫画家有志が都議会に要望していた。条例は改正しないため「不健全」の文言は残る。
森川さんは「国も都もクリエーターを支援すると話す一方で、表現の自由を規制し、萎縮させるようなこともしばしば見かける。規制緩和の方向にいってほしい」と訴えた。
表記変更に向けて4月に条例改正案を発表し、意見公募をしていた都議会立憲民主党は都の対応を受け、改正案の議会提出を見送った。五十嵐衣里都議は「漫画家や読者の思いに都が応えてくれたことは評価したい。漫画家が大切にしている表現の自由を今後も守っていきたい」と話した。(原田遼)
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