
主聖堂の内部。祭壇を取り囲み、半円に近い形で信徒席が並ぶ=いずれも千代田区で
JR四ツ谷駅の改札を出て、緑豊かな土手沿いの道を歩くと、左手に見えてくるのは、カトリック麹町聖イグナチオ教会の正門。その奥にモダンな外観の主聖堂や信徒会館が並ぶ。
イグナチオの名は、16世紀にローマでカトリック修道会「イエズス会」を結成したイグナチオ・デ・ロヨラに由来する。この時代、イエズス会は海外宣教を進めた。1549年、キリスト教を日本にもたらしたフランシスコ・ザビエルは、イグナチオによって派遣された。
聖イグナチオ教会の前身である「幼いイエズスの聖テレジア教会」は1936(昭和11)年、現在の千代田区六番町に設立された。45年の空襲で全焼し、上智大(千代田区紀尾井町7)の聖堂を臨時の教会とした。戦後、教会の運営はイエズス会に移り、49年、上智大に隣接する今の場所(同区麴町6)に聖堂を建設。その老朽化に伴い、99年に新たな聖堂を建てた。

主聖堂は、平面が楕円の形をしている
一般的に聖堂の平面で多いのは長方形だ。しかし聖イグナチオ教会の主聖堂は楕円(だえん)。信徒席は中央の祭壇を取り囲んで並び、古代ギリシャの円形劇場を思わせる。床は、すり鉢状になっており、祭壇の位置は最も低く、祭壇に立つ司祭と信徒は互いの顔を見られる。

主聖堂の正面に設置された「イエス像」
なぜ信徒席を半円に近い形にしたのか。聖書に書かれるイエスと弟子たちが舟で湖を渡る話は、人間は教会という舟に乗り、神に導かれて世俗の旅を続ける、と暗示する。船長として人々の先頭に立つイエスの姿を想像させる。だがそうではなく、イエスは常に人々の中にいる。あえて半円形にした理由はここにある、と主任司祭の髙祖敏明さん(79)は語る。

信徒会館3階のバルコニーから正門の方を指して建物の配置を説明する主任司祭の髙祖敏明さん
62~65年、カトリック教会は現代化を図り、世界の司教を集めて公会議(第2バチカン公会議)を開いた。髙祖さんは「それまでのミサはラテン語で、船長...
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