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私たち追い出されるの? 愛着あるマンションに「オフィスビルへの建て替え」計画が…大崎駅前再開発の裏で

2026-03-25 HaiPress

東京変貌〈追い出される住民〉➀(全7回)

沢田明美さん(64)=仮名=は耳を疑った。「えっ、じゃあ私たちはどこに住むの?」

自分が住むマンション「ニュー大崎」(116戸)が、再開発でオフィスビルに建て替えられると聞いたからだ。

◆「説明を聞いて、もう怒り心頭でしたよ」

それは2020年2月に開かれた地元住民向けの説明会でのことだった。

ニュー大崎は1978年完成の10階建て。JR山手線など5路線が乗り入れる大崎駅(東京都品川区)の西口駅前という一等地に立つ。

都心有数のオフィス街となった駅周辺で、まだ西口駅前には開発の手が及んでいなかった。

大崎西口の駅前に立つマンション「ニュー大崎」(手前)。駅前の古いマンションが再開発に狙われている

再開発予定地には、ニュー大崎のほかにも4棟のマンションが立っている。オフィスビルになれば、沢田さんだけでなく、多くの住民が立ち退きを余儀なくされる。

「忘れもしない。説明を聞いて、もう怒り心頭でしたよ」。沢田さんは、6年前の説明会での出来事を昨日のことのように語った。

再開発を検討している「再開発準備組合」の担当者が、オフィスビルに建て替える理由について、こう説明したという。

「オフィス1棟にすることにより事業性が上がり、住民が得られる権利も大きくなるから」

◆なぜオフィス単独に?「ピカピカのタワマンに入れますよ」

一般的に法律に基づく再開発事業は、行政から容積率の緩和を認めてもらうことで、従前よりも高いビルを建てる。高層化して増えた床をマンションやオフィスとして売り出せば、建て替え費用を賄えるという算段だ。

準備組合の言い分では、オフィス単独の方が高い収益が見込めるので、その分、住民はより広い部屋に住み替えられるとのことだった。

ニュー大崎を出て横断歩道を渡ると大崎駅の西口

後に準備組合が住民に配った資料にも、こう書かれている。「大崎駅前において最も市場価値の高い用途は事務所であり、事務所床を大きく整備することで、より市場価値が増加し、開発利益が大きくなる」

準備組合が、西口駅前の住民らの受け皿として示したのは、ニュー大崎の裏手に建設予定のタワーマンションだった。

裏手の「大崎駅西口F南地区」と呼ばれるエリアでも、このとき別の再開発事業が進行中だった。マンションは地上37階、約460戸で、間もなく完成を迎える。

準備組合は、今住んでいるマンションから転出すれば、代わりにF南地区のタワーマンションの部屋を用意するという。

準備組合の事務局は、「新しくてピカピカのタワマンに入れますよ」「今と同じ面積の部屋を用意します」と盛んに勧めてきたという。

再開発は単なる地上げとは違う。街の更新が目的で、住み続けたい人のために同じ場所に住まいも確保するものだ。

「私たちを追い出そうと言うのか」。沢田さんは怒りに震えた。

準備組合が、これまでの説明を突然、翻したことにも納得できなかった。

◆突然の「1棟案」への疑問、怒り

当初、準備組合が示した案は、オフィス棟と住居棟の2棟を建てるというものだった。住民は希望すれば住居棟に入居でき、再開発後も同じ場所に住み続けられると聞いていた。

東京新聞は、準備組合に2棟案から1棟案に変更した理由を尋ねたが、準備組合は「理事会で協議した結果、回答を差し控えさせていただきたい」とした。

ニュー大崎の裏手に建設中のタワーマンションを見つめる沢田さん=東京都品川区で(平野皓士朗撮影)

冒頭の説明会から半年後の2020年8月、準備組合は総会で、1棟案に変更した事情を次のように明かしていた。

「2棟案を提示した後、部屋の面積が狭くなるということで否定的なご意見が多くあった」

「面積を減らさない改善策として事業性を上げるオフィス1棟案を検討することになった」

再開発すると、自身が所有する土地・建物の評価額に応じて、新たなビル内に等価の資産を手にすることができる。ただ、一般的に再開発すると地価が上がるため、等価で得られる面積は従前より狭くなることが多い。

準備組合の別の会合の議事録には、部屋が広くなるなら裏手のマンションへの移転は「苦渋の決断だ」と語る準備組合の理事の発言が記されていた。

住まいが広くなろうが、沢田さんは駅前から離れるつもりはない。

◆「駅前0分」だったから、働き続けることができた

マンション前の横断歩道を渡れば、そこはもう大崎駅。ニュー大崎では駅の目の前という立地条件にひかれて入居した人が少なくない。

沢田さんもアクセスの良さを気に入って購入した。駅から遠くなれば不動産価値が下がるかもしれない。なぜ、わざわざ不便な場所に移らなければならないのか。しかも自分の意思ではなく。

ニュー大崎が新築だった当時のチラシ。「駅前0分」とアクセスの良さを売りにしていた

沢田さんは高校生だった48年前、新築だったニュー大崎に家族とともに引っ越してきた。結婚を機にいったんは独立したものの、夫と別の部屋を購入し、再びニュー大崎での暮らしが始まった。

夫婦共働きで、職場は沢田さんが神奈川県で、夫が群馬県。お互い片道1時間以上かかる遠距離通勤だったが、「駅前という好立地だったからこそ、子育てしながらフルタイムで働き続けることができた」と振り返る。

「すぐ隣だから」といっても、沢田さんには受け入れがたい話だった。

そもそも沢田さんは、再開発の話を初めて耳にしたときから、その必要性に疑問を抱いてきた。

話は13年前にさかのぼる。(鈴木里奈、中沢誠)


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東京の再開発のはしりとされる大崎地区。かつて工場・倉庫群だった駅周辺は、1980年代に副都心と位置づけられ、高層ビルが林立するオフィス街へと変貌を遂げた。

そんな駅前の一角で新たに持ち上がった再開発が、住民の反発を招いている。

次々とタワーマンションやオフィスビルへと姿を変えていく東京の足元で、何が起きているのか。再開発がもたらす、もう一つの側面を見つめる。

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