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万華鏡のように微細に変化 長沢秀之個展「OVER PAINTING」〈美術評〉椹木野衣

2026-03-23 HaiPress

画家としての長沢秀之の制作の根幹には、「見ること」がある。絵を描くなら、そんなことあたりまえじゃないか、と思うかもしれない。けれども、長沢の見ることへの問題意識には、「私が見るのではなく、目が見る」というふうに、「私」と「目」との分離がある。もちろん、目は「私」の肉体の一部なのだから、両者を完全に分離することはできないし、実際のところ、私たちは絵を見るとき、「私が見る」ようにして絵を見ている。だが、厳密に言えば「私」というのは抽象概念で、生理学的な「目」がついているわけではないのだから、私だけでは絵を見ることができない、というのも原理的には真実なのだ。

《沖縄・1944年・対馬丸-Ⅱ》2025年©NAGASAWA Hideyuki,Courtesy of GALLERY MoMo

ところで今回、長沢が試みたのは、展覧会のタイトルにもあるとおり「上塗り(Over Painting)」という方法で、これは過去に素朴に絵を描くことの困難に直面し、いったん筆を捨てた作者が、過去に中...

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