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黒田剛監督が悩んだ「ハリネズミのジレンマ」 主力のけがに苦しんだ町田ゼルビア 「常勝チーム」になるには

2025-12-29 HaiPress

〈密着マーク・町田〉総括2025③

サッカーJ1のFC町田ゼルビアは今季、天皇杯で優勝してクラブ初となる主要タイトルを獲得した。一方、リーグ戦はまたも宿敵に阻まれ、目標を一つ下回る6位。相次ぐけが人にも悩まされた一年を、黒田剛監督の象徴的な言葉とともに振り返る。(加藤健太)=全3回

①望月ヘンリー海輝のセンターバック起用が初タイトルを呼び込んだ町田ゼルビア黒田剛監督の葛藤と「勝負手」


②天敵・広島の壁を超えられなかった町田ゼルビア「同等まで来た」黒田剛監督が見据える来季へのポイントは


③黒田剛監督が悩んだ「ハリネズミのジレンマ」主力のけがに苦しんだ町田ゼルビア「常勝チーム」になるには(この記事)

◆足りなかった「タフさ」

FC町田ゼルビアは今季、大型補強で戦力を整えながらも新戦力の相次ぐ離脱に苦しんだ。けが人を抱えてもなお持ちこたえた他クラブのように、逆境をはね返すことはできなかった。

12月6日、リーグ最終戦の柏レイソル戦。黒田剛監督は試合後の記者会見で来シーズンへの課題を問われると、体づくりに重点を置いて答えた。

FC町田ゼルビアの黒田剛監督はシーズンを通してけが人に悩まされた=9月27日、町田GIONスタジアムで(芹沢純生撮影)

「けがをしない体づくりをもっとやっていかなきゃならない。やっぱり上位、優勝を争うチームは離脱者をほとんど出さない。そういった選手層やタフさを兼ね備えていく必要がある」

けが人による影響を何度も口にしてきた指揮官は、やはり締めくくりの場でも言及した。

◆岡村大八、菊池流帆から生まれた好循環と8連勝

特に痛かったのが、センターバックを担う岡村大八、菊池流帆の離脱だった。

ともに今季からチームに加わり、主将の昌子源とともに強固な3バックを形成。2人の存在は勝敗の行方を大きく左右した。

鹿島アントラーズ戦でチーム2点目のゴールを決めて喜ぶFC町田ゼルビアの岡村大八(中)と菊池流帆(左)=6月21日、町田GIONスタジアムで(芹沢純生撮影)

クラブ新記録となるリーグ戦8連勝を飾った6〜8月は、岡村と菊池が最終ラインに君臨した。

空中戦や対人守備に定評があり、最終ラインを通常よりも高めに保つ「ハイライン」を敷いても破られなかった。連勝を続けた8試合で、わずか3失点に抑えた。

2人の守備は攻撃にも好循環を生んだ。

自陣に放り込まれたボールをことごとくはね返し、味方がセカンドボールを拾って攻撃に転じる回数が増えた。

◆2人が戦線を離脱してチームの歯車は狂った

一方で、2人を欠くと、チームは途端にバランスを崩した。

サンフレッチェ広島との開幕戦では岡村、菊池が立て続けに負傷交代した後、1点リードを守り切れずに逆転負け。一年を象徴する試合となってしまった。

シーズン中盤から終盤にかけたチームの戦いぶりも同じで、2人がいなくなると雲行きが変わった。

菊池流帆の長期離脱が決まった直後の横浜FC戦。菊池のユニホームがベンチに掲げられた=9月12日、町田GIONスタジアムで(芹沢純生撮影)

9月上旬に菊池が右膝の手術で全治12カ月と診断されてシーズン中の復帰が...

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