〈東京ガチ中華〉第18回

温州料理を提供する日暮里駅前の「甌味」
高市首相の発言をきっかけに日中関係が極寒期に転落したが、ガチ中華巡りはやめられない。美食への希求は、政治関係とは別物だ。
先日、上海から一時帰国した友人と酒を飲む機会があり、関係悪化で中国人のマインドに変化があるのか聞いてみたところ、「航空会社が便数を絞っているが、日本に来たい人は、変わらず来たいと思ってる」と話していた。
さて、中国人の友人からもらったリストにある店を地図アプリで探していると、荒川区日暮里の「甌味(オウウェイ)」という店が気になった。
調べてみると「甌」とは浙江省温州を意味する漢字。温州料理は、中国八大料理に数えられる浙江料理の系統に属するという。どんな料理なのか、お店を訪ねた。
経営するのは浙江省温州出身のご夫婦。夫の黄さん(56)が料理を作り、妻の夏さん(58)が店を切り盛りする。
壁にびっしりメニューの写真が貼られている。イカ、カニ、ムール貝、イシモチ。ガチ中華店では料理名と料理のイメージが合致しない場合があるので、写真のメニューはありがたい。

ニベの切り身を叩いて伸ばした「炒敲魚」
その中でも比較的庶民的な価格の料理を薦めてもらった。まずは、「炒敲魚(チャオチャオユー)」。日本語では「叩いた魚の炒め」という意味だ。
ニベの切り身を、その名の通り叩き、紙のような薄さになるまで平らにする。それを短冊状に切って平打ち麺のようにしてから、白菜やタマネギと一緒に塩とお酒で炒める。
さらに、中国から空輸した貝を使った「葱油蟶子(ツォンヨウチェンズ)」を注文した。蟶子は「アゲマキガイ」。マテ貝と間違われやすいが、貝殻がやや短い特徴がある。

アゲマキガイを使った「葱油蟶子」
これを殻ごと蒸して、大輪の花のような形に並べる。中心には春雨。酢と醤油、こしょう、砂糖を混ぜたタレを上からたっぷりかけ、青ネギを乗せて完成。見た目はややグロテスクだが、色彩が豊かな料理だ。
夏さんは手際良く料理を盛り付けながら早口でいう。「料理はまず『色』と『香り』が大事。その次に『味』。日本料理だってそうでしょ」
温州はどんなところなのか。夏さんは温州...
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