渡辺えり版「星の王子さま」で、作・演出を手がけた渡辺えり(左)と星の王子さまを演じる結城孫三郎=東京都小金井市の「江戸糸あやつり人形結城座」で
400年近い伝統を持つ劇団「江戸糸あやつり人形結城座」が10月3~6日、東京都世田谷区のシアタートラムで、渡辺えり版「星の王子さま」を上演する。「愛」「絆」などの普遍的真理を伝え続けるサンテグジュペリの小説が原作。単なる夢物語でなく、反戦の思いをあやつり人形の舞台で現代社会に訴えていく。(山岸利行)
原作は、故郷の星を離れて地球にやってきた星の王子さまと、砂漠に不時着した飛行士の交流を描いた世界的ベストセラー。「たいせつなことは目に見えない」というメッセージは深く心にささる。20代の頃から芝居にするアイデアを温めてきた劇団の両川船遊(りょうかわせんゆう)(80)が、劇作家、俳優などとして活動する渡辺えり(69)に作、演出を依頼した。
「夢物語や外国のファンタジーではなく、私たちの身近にあるものにしたかった」と渡辺。作品では現代の中学生3人が登場し、星の王子さまの世界に飛び込んでゆく。台本には「スマホ」「AI」といった現在の世相を表す用語のほか、「広島」「長崎」「原爆」「ウクライナ侵攻」などの言葉もあり、戦争の愚かさを表現している。渡辺は「ガザ(での戦争)を止める思いを込めた」と話す一方、「子どもたちに見てほしい。笑顔が見たい」と笑って楽しめる舞台であることも強調する。
人形のほか、生身の俳優、ダンサーも出てきて、新内節など日本の伝統音楽と現代音楽が流れる多彩な演出。王子は人形で登場。渡辺は「人形がどんな顔(表情)をしているのか、見た人100人が100通りに想像できる。人形の面白さを体験して」と、人形で演じるメリットを語る。王子の人形を遣い、せりふも語る結城孫三郎(45)は「コメディー、シリアス、それぞれの場面の色合いの違いを丁寧に表現したい」と意欲を見せる。
11月2日に小金井宮地楽器ホール(東京都小金井市)でも上演予定。出演はほかに、吉田裕貴、新内多賀太夫ら。結城座=(電)042・322・9750。
「星の王子さま」フランスの作家、サンテグジュペリ(1900~44年)の小説。パイロットでもあった自身が35年にサハラ砂漠に不時着した経験が反映されているとされ、第2次世界大戦中の43年、亡命先の米ニューヨークで出版された。サンテグジュペリは44年、偵察機に搭乗したまま消息を絶ったが、2000年の調査で、ドイツ軍に撃墜され死去したことが判明した。
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