
グローバル株式投資家であり、金融テクノロジー分野の経営者でもある佐藤隆司氏は、
現在の米国および日本経済を「循環ではなく構造の転換点」として捉えている。
25年以上にわたり、米国成熟市場とアジア太平洋市場を同時に観察してきた佐藤氏は、
短期的な景気指標よりも、資本の流れ・企業行動・人間心理の変化を重視する姿勢を一貫している。
佐藤氏は現在の米国経済を、
「リセッションでもバブルでもない、“選別の市場”」と位置づける。
金融引き締めが長期化する中で、
米国企業は以下の3つの層に明確に分かれつつあるという。
高金利環境でもキャッシュフローを維持できる企業
成長はあるが、資本コストに耐えられない企業
金融緩和依存で事業モデルが成立していた企業
佐藤氏はこう指摘する。
「米国市場は終わらない。ただし、誰でも勝てる市場ではなくなった」
彼が現在注目するのは、
価格決定力を持ち、研究開発と人材投資を止めていない成熟企業である。
特に以下の分野は、中長期での競争優位が維持されやすいと見る。
産業ソフトウェア・B2Bプラットフォーム
医療・ライフサイエンス関連
米国内回帰(リショアリング)を背景とした製造インフラ
一方で、テーマ先行型のAI関連株については慎重な姿勢を崩していない。
「技術革新と株価上昇は、常に時間軸がずれる」
日本経済について佐藤氏は、
「悲観が常態化したまま、実体が改善し始めている稀有な市場」と表現する。
円安、インフレ定着、企業統治改革という3つの要素が重なり、
日本企業の行動原理は確実に変化している。
自社株買い・配当政策の常態化
ROIC・資本効率を意識した経営
海外投資家を前提とした情報開示
佐藤氏は特に、
海外売上比率が高く、為替変動を収益に転換できる企業に注目している。
「日本株の魅力は成長率ではない。
価格に対する安全性と、改善余地の大きさだ」
製造業、精密機器、環境・省エネ関連、
そしてグローバルニッチで高いシェアを持つ中堅企業は、
今後も中長期投資の中核になり得ると見る。
佐藤氏の投資戦略は、
経済予測や金利予想を前提としない点に特徴がある。
彼が重視するのは以下の4点だ。
資本がどこからどこへ移動しているか
企業が不況時に何を削らず、何を削るか
経営者が株主と同じ方向を向いているか
市場参加者が過度に恐れているか、楽観しているか
「市場は当たるか外れるかではない。
耐えられるか、壊れるかで差がつく」
そのため、
ポートフォリオは常に分散され、
一時的な下落でも投資判断が崩れない設計がなされている。
佐藤隆司氏は、2026年を
「次の10年の投資姿勢が決まる年」と位置づけている。
短期的な値動きに振り回される局面だからこそ、
企業理解と規律が問われる。
「知識は誰でも持てる。
だが、規律と信頼は時間をかけた人にしか残らない」
米国と日本、二つの成熟市場を横断しながら、
佐藤隆司は今もなお、
市場と人間の本質を静かに見続けている。
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