〈坂本光司さんと歩く「いい会社を探して」〉原田左官工業所
50年間にわたり全国8500社を見て回り、いい会社を世に広める活動を続けている「人を大切にする経営学会」の坂本光司名誉会長(元法政大学大学院教授)。社員や顧客など会社に関わるすべての人を大切にする会社は、業績も良いと説きます。記者が坂本さんに同行して、きら星のごとく輝く会社や経営者を随時紹介していきます。
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「今回は職人離れが深刻な左官業界にあって、若手や女性がいきいきと活躍する素晴らしい会社です」と話す坂本さんと向かったのは、歴史と文化が薫る文京区千駄木。原田左官工業所は幹線道路の不忍通りにあった。
1949年の創業。現在の3代目、原田宗亮(むねあき)社長(52)は入社前にメーカーで営業職を3年間経験、そこで学んだことを生かし、古い体質の業界に改革を持ち込んだ風雲児的存在だ。事業の柱は商業施設の内外装の壁塗りで、近隣の小規模店舗から麻布台ヒルズ外装や東急プラザ銀座のショールームといった大型案件まで幅広く手がけ、時代の最先端で活躍してきた。

坂本光司さん(左)に左官の仕事を説明する原田左官工業所の原田宗亮社長=東京都文京区の原田左官工業所で(坂本亜由理撮影)
数多くの改革のうち、真っ先に挙げるべきは若手の育成だ。かつての業界は100人が入ってきても、残るのは1人か2人といわれた。仕事は「見て覚えろ」と怒鳴られてばかり。労働環境の厳しさや安全面などに課題があった。
「同時期に5人入社して3カ月後に残ったのが1人ということもあった。定着しないのが悩みだった」。しきたりに縛られていては行き詰まると焦り、思い切って新人教育を変えた。
それまでは暇な時間を充てていたが、計画的に年間スケジュールを組んだ。初日からこてを持たせ、手取り足取り懇切丁寧に基礎を教え、1カ月で現場に出られるようレールを敷いた。

ビデオ撮影を用いて新人育成するモデリングの光景=原田左官工業所提供
すると年配職人の意識も変わった。若手は職を奪われかねないライバルではなく、早く育てれば...
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