〈庭園緑譜〉肥後細川庭園(東京都文京区)
土地の地形や歴史を映し、自然の要素で構成される日本の庭園が、国内外で注目されている。首都圏の庭園を訪ねて、その響きに耳を傾け書き留めてみる。

台地の崖と池を中心に展開する庭園。そよぐ風が心地よい=東京都文京区で(川上智世撮影)
高さ30メートルほどの目白台の台地を中腹まで上り、木陰から池を見下ろすと、そよぐ風にひと心地ついた。
台地の崖と、湧き水や井戸水を引いた池を中心に展開するこの池泉(ちせん)回遊式庭園で、小径(こみち)を数本横に通した斜面は木々が茂り、幾分涼しい。

園内北西にある滝。水音が庭園を包んでいる=東京都文京区で(川上智世撮影)
イロハモミジにエノキ、ヤマハゼは、秋になれば順に色づき冬には葉を落とす。ツバキやマツ、スダジイ、シラカシなど常緑樹も豊富だ。樹高2メートル以上で計約930本、実生も伸びやかに育つこの林が水も蓄えてきたのだろう。巡る水が、石を積み組んだ滝を落ち、その水音が庭園を包んでいる。
一帯の敷地は江戸中期に旗本の屋敷地となり、その後、一橋徳川家などの下屋敷を経て、幕末に肥後熊本藩主、細川家の下屋敷となった。細川家が庭園を設けたのは明治に入り1892~95年ころ。ただ、一橋家の1804年の記録によれば、池を巡る庭園の原型はあった。
「小嵐山(らんざん)図」。細川家のお抱え絵師...
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