47都道府県の「魅力度ランキング」で埼玉県がついに最下位になった。「観光」と並び「食」への評価が低かったというが、ちょっと待ってほしい。東京を訪れる観光客が買っていく土産菓子の多くは埼玉でつくられているのだ。「埼玉にうまいものなし」なんて、もう言わせない。(浅田晃弘)

浦和工場でつくられた浅草名物の芋ようかんとあんこ玉
インバウンド(訪日客)でにぎわう東京・浅草の和菓子店「舟和」。新仲見世通りの本店をはじめ、浅草寺周辺に7店を展開する有名店だ。1902(明治35)年の創業以来の名物の芋ようかんやあんこ玉は、東京駅や上野駅、羽田空港、デパートでも販売する。
浦和駅から6キロ。舟和の唯一の製造工場は、さいたま市の中心部を離れた荒川の土手に近いのどかな場所にある。今年、操業60周年を迎える。
「工場ができた当時は、畑の真ん中だったそうです」。舟和製造部次長の福田典子さんが説明する。量産するには当時の浅草の工場では狭く、東京の近郊で場所を探した。良質な地下水が豊富なことも立地の決め手になったという。

さいたま市桜区の荒川近くに立つ舟和浦和工場
サツマイモと砂糖、食塩でつくった芋ようかんは日持ちがしない。浅草本店などには1日2回、配送している。「幹線道路へのアクセスがいいから運べる」
近くの通称・新大宮バイパスは首都高速道路や複数の国道と接続する。周辺には、同じく浅草名物の「常盤堂雷おこし本舗」やカステラの「文明堂東京」など有名菓子の工場が集まる。各社ともあまりPRしていないので知る人は多くないが、工場併設の売店巡りは観光バスツアーも企画されるほどで、ひそかな人気がある。舟和が2023年にリニューアルした工場売店はテラスのついた飲食スペースがある。木のぬくもりを生かした洗練された空間が地域の名所となっている。

愛くるしい姿で親しまれている「ひよ子」。インゲン豆を使ったあんを小麦粉の皮で包む
東京駅構内の土産売り場「HANAGATAYA」を通りかかると、舟和の商品と並んで「名菓ひよ子」が置いてあった。こちらもターミナル駅や空港、デパートを販路にする東京土産の定番中の定番だ。
大正時代に誕生した福岡の人気菓子だった。1964年に首都進出の拠点として、埼玉県南部の草加市に工場を建設した。初めての東京五輪の開催年だ。
「福岡の工場と同じレシピでも水や気候が違えば、生地の食感やあんの炊き上が...
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