「北の玄関口」といわれた上野駅を「文化創造」の起点に──。JR東日本が上野にキャンパスを持つ東京芸術大などと連携し、駅をアートの発信や体験の舞台に変える。16日に開幕の式典があり、上野のまちや歴史、作品を映像で伝える大型画面も中央改札前に現れる。準備に追われた現場を取材し、キーパーソンや工事の関係者に思いを聞いた。(嶋田昭浩)
上野駅改造の中心は中央改札の「グランドコンコース」。改札機がずらりと並ぶすぐ上に、画家・猪熊弦一郎(1902~1993年)が1951年に描いた幅約27メートルの巨大な壁画「自由」が掲げられている。年を経て傷みもひどく、3回目の修復をした。

JR上野駅中央改札の上には、修復を終えた猪熊弦一郎の壁画「自由」が掲げられている=東京都台東区で(嶋田昭浩撮影)
よみがえったばかりの壁画を養生シートで覆い、周囲の修繕を進めていた1月下旬には、ビルの建設現場を思わせる足場が組まれたままだった。「以前の修復作業では足場が狭く、やりづらかったそうです。(絵筆を手に)寝っ転がって描かなければならない部分もあるそうで、幅を広くしました」。改造工事を手がける東鉄工業(新宿区)東京工事所の井手口俊祥(いでぐちとしあき)所長が、上からチェーンなどでつり下げた3段の「吊(つ)り足場」へ案内してくれた。
同社の星野正成(まさなり)さんも「普段とはちょっと違う仕事なので、どんな姿勢で(修復作業を)やりたいか要望を聞きました。初めての経験でした」と振り返る。
半世紀以上前の壁画は、今日的な意味も大きい。

上野駅への思いを語る中村政人・東京芸大教授=東京都千代田区で(嶋田昭浩撮影)
「1951(昭和26)年といえば戦後間もない、上野駅に家を失った行き場のない人たちが集まって...
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