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〈司書記者の旅をする本棚 26〉銀座の地下 妖しく光る文壇サロン 中央区 Book Café&Bar 十誡

2026-02-13 HaiPress

図書館司書の資格を持つ東京新聞・谷野哲郎記者がお薦めの場所と本を紹介します

重厚な扉をゆっくり開けると、妖しい空間が広がっていた。照明を落とした室内に赤い革のビンテージソファが映える。金の調度品、人形が壁一面の本と相まって、独特の雰囲気を醸し出す。ここは銀座5丁目。地下に造られた秘密のバーである。

別世界のような、洗練された大人の雰囲気が店内を包む「十誡」(田中健撮影)

2015年に「好事家の書斎」をコンセプトに造られた。印象的な店名の由来はモーセの十戒から。「ここの本は少し特殊で趣味の偏ったものばかり。お客さま同士で相手の嗜好(しこう)を否定しない、踏み荒らさないという店の決まりを十の戒律になぞらえて」。店長の藤原織香さん(34)が微笑した。

書架には珍本・奇本を含む個性あふれる約3000冊が並ぶ。三島由紀夫の文学全集に映画や音楽の本に写真集、はたまた妖怪や魔術系の本まで。他にも澁澤龍彦(しぶさわ・たつひこ)や寺山修司ら作家別のコーナーもこしらえてある。趣向に富んだアングラの図書室だ。

店内に展示された太宰治の「人間失格」の初版本(田中健撮影)

貴重な本も多い。太宰治の「人間失格」は1948(昭和23)年発行の初版本の他、直筆原稿を複写して本にしたものがある。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」は年代や装丁の違うものが何冊も揃(そろ)う。客は酒を片手にそれらをめくり、至福の時を過ごす。

銀座という...

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