早朝の山東省濰坊市寿光市南部の野菜温室は、北の渤海湾の塩田と美しい風景をなす。夙沙氏の「海水を煮詰めて塩を作る」作業から、高級化学産業クラスターになるまで、一粒の塩が1千億元規模の産業の「ホワイトゴールドエンジン」となっている。

千年の歴史を持つ海塩作り技術が、今やテクノロジーの力で活性化している。自動塩採取機が手作業に取って代わり、塩水濃度センサーがリアルタイムでデータを送信し、インテリジェント結晶化モデルによって生産量が精密に制御される。「伝統の塩職人」である王建国氏は、今では制御室でボタンを押すだけで塩の採取量が倍増すると嘆いた。技術の革新と集約化生産を基盤とする寿光市の原料塩生産能力は、年間400万トンを超え、中国北部の工業用途を支えているだけでなく、欧州、米国、日本、韓国、アフリカなどへの輸出も担っている。

「化学原料の母」とも言える塩は、寿光市で広く開発されてきた。塩水資源を活用し、既存のサプライチェーンを拡張・補完することで、塩化学産業クラスターの更なる発展を狙う。山東夙沙高科技有限公司は革新的な「水塩共生産」技術を開発し、濃縮塩水のゼロ排出を実現したことで、環境に配慮した産業チェーンを構築した。現在、寿光市の塩および塩化学産業は、8つの主要製品シリーズと100種類以上の製品を持ち。この産業チェーンは、塩の生産や臭素抽出から、医薬品中間体などのハイエンド分野にまで広がり、塩の価値を数十倍に高めた。

また、寿光市は塩産業と文化観光の融合も推進している。臨海生態博覧園は人気の見学スポットとなっており、子供たちは「海水を煮詰めて塩を作る」体験に通じて、塩作りの歴史について学ぶことができ、さらに「不沈湖」塩浴や塩山登りといったアクティビティも観光客を惹きつけている。双王城商・周代塩業遺跡などの文化資源と「観光主導型商業」モデルを組み合わせることで、周辺のレストランや宿泊施設のグレードアップが促進され、古村と連携してユニークな体験を提供することなどによって、寿光に「海洋文化＋レジャー・エンターテイメント」という新たなイメージ力を添えた。