東京都・多摩地域の30市町村が2023年度、収集・受け入れたごみの総量は100万1075トンとなり、この10年で約1割減少した。埋め立てる海がなく、最終処分場を増やすことが難しい多摩地域では、自治体が長年積極的な対策を進めており、全国的にもごみ削減の「優等生」とされる。リサイクル率も36.4%となり、前年度の全国平均19.6%を大きく上回った。(岡本太)
埋め立てゼロが続いている二ツ塚処分場=日の出町で(東京たま広域資源循環組合提供)
東京市町村自治調査会が多摩地域の30市町村にアンケートを行い、23年度版の統計として8月に公表した。
統計によると、30市町村のごみ総量は減少傾向が続き、23年度は22年度比3.2%減。10年前の13年度比で10%減となった。ごみ総量100万トンのうち84万トンが、家庭ごみ中心の収集ごみ。収集ごみは可燃ごみが53万トン、資源ごみが23万トン、不燃ごみが4万トンなどだった。
住民1人が1日当たりに出すごみ量は679グラムで、22年度比3.3%減。22年度の全国平均880グラムと比べて2割以上少なかった。
多摩地域では長年、最終処分場の確保が大きな課題となってきた。1984年に開場した谷戸沢処分場(日の出町)は満杯となり、98年に埋め立てを終了。反対運動が起こる中で開場した後継の二ツ塚処分場(同)も当初は16年間で満杯になるとみられていた。
こうした状況に、多摩地域の各自治体は、ごみ削減の取り組みを本格化。98年の青梅市をはじめ、多くの自治体で収集ごみを有料にしたり、戸別収集を導入したりして、ごみの削減を図ってきた。
従来は埋め立てられていた焼却灰を使い、セメントをつくる新事業の効果もあり、2006年には処分場での埋め立てごみゼロを達成。処分場の容積に占める埋め立て率は、47%のままストップしている。
青梅市が収集ごみの有料化に踏み切ってから26年。取り組みは多摩全域で進み、今では八王子市や日野市など多くの自治体が、ごみ排出量の少なさのランキングで全国上位につける。ある自治体の担当者は「かつては『ごみの行き場がない』というほどの危機だった。住民の中にも、ごみを減らそうという意識が当たり前になってきたことが大きい」と話している。
東京23区で23年度に収集・受け入れたごみの総量は約248万5500トン。多摩地域と同様に、この10年で約1割減少したものの、最終的には約18万トンを東京湾に面した最終処分場に埋め立てている。
23区では、家庭ごみの収集は現在も無料。住民1人が1日当たりに出すごみの量は875グラム(22年度)で、全国平均とほぼ同じ水準となっている。リサイクル率も全国平均とほぼ同じ19.4%(同)。
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