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皮革製品の小さな作業場がひしめく東京の下町で、「スタイリッシュ」を追求したステッキが誕生した。開発した「マルスギ商会」(台東区)の鳥喰(とりばみ)唯志さん(44)は「生活に色を添えるステッキを届けたい」と意気込む。
「メードインしたまち」のステッキを手にする鳥喰唯志さん=台東区で
父親の唯夫さん(79)が40年以上前にこの場所で創業して以来、生地販売やかばん製造などの事業を展開。「まさかステッキを作ることになるとは」と唯夫さんは笑う。
唯志さんは2年前まで福祉用具のメーカーに勤めていた。「ステッキはかっこわるいから使いたくない」「ダサいものしかない」という利用者の意見を多く聞いてきたという。
それでも、脳梗塞やリウマチなどを患い、姿勢保持が困難な人にとっては必要不可欠な道具だ。「デザイン性に配慮したステッキを作れば、需要はあるはず」と、開発に取り組んだ。
デザインと色が異なる3種類を用意した。ステンドグラスなどをイメージした西洋風の模様を施す。柄の部分のみ台湾製で、グリップとそれを覆うカバー、接地面のゴム先などを近所の町工場で作製する。「裁断屋さん、縫製屋さん、刺しゅう屋さんなど、自転車ですぐ行ける範囲に全部ある。作業工程の8割を台東区で担う『メード・イン・したまち』のステッキです」
今年7月、同区のふるさと納税の返礼品に選定された。唯志さんは「地元では『身内の人にプレゼントしたい』と声を掛けられるようになってきた。広く知ってもらえるきっかけになれば」と語る。(石井紀代美)
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