タイブレークの末にサヨナラ負けし、アルプス席にあいさつに向かう早実の選手たち=いずれも甲子園球場で
甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれている全国高校野球選手権大会は17日、3回戦の4試合があり、早実(西東京)は大社(島根)に延長タイブレークの末、2-3で競り負けて準々決勝進出はならなかった。(佐藤航)
早実は1点を追う六回、1死満塁から国光翔選手(2年)の二ゴロの間に同点に追いついた。七回には敵失で勝ち越しに成功したものの、九回に相手のスクイズで追いつかれた後、1死二、三塁のピンチを切り抜け、2-2で延長に突入した。
十回は堅い守りで勝ち越しを許さなかったが、十一回の守りで先頭から連打を許してサヨナラ負けを喫した。延長戦での攻撃は、送りバント失敗などで得点できなかった。
9回裏に内野守備に加わる左翼の西村悟志選手(左端)。中央は川上真投手
互いに力を出し尽くしての敗戦に、普段はひょうひょうとしている和泉実監督が思わず声を震わせた。「良かった。60歳を過ぎてこんな良い経験をさせてもらって。(選手たちは)本当に美しかった」。最後の最後まで諦めなかった教え子たちに、経験豊富な名指導者が言葉を尽くして敬意を示した。
勝利への執念を象徴していたのが九回の守りだった。無死一、三塁からスクイズで同点に追い付かれ、一塁送球も乱れてなおも無死一、二塁のピンチ。犠打で1死二、三塁となったところで、和泉監督が動いた。選手交代で本来は内野手の西村悟志選手(1年)を左翼に入れ、投手と三塁の間につけた。
スクイズを許さず、打ちにきても内野は絶対に抜かせないという決意の内野5人のシフト。まさに狙い通り、ヒッティングに出た相手の打球は西村選手の正面に飛んだ。ワンバウンドで捕球し、三塁走者をけん制してから一塁に投げる。これで2アウト。本塁に突入してきた三塁走者も刺し、会心の併殺を完成させた。
夏の地方大会前から、チームはこうしたピンチを想定して練習を繰り返してきた。西村選手は「出るなら僕だろう」と腹を決め、重圧がかかる場面で見事に大役を果たした。
延長タイブレークの末に敗れたものの、宇野真仁朗主将(3年)は下を向かなかった。「一人一人が自分の役割を全うし、全員が全員を信頼していたチームだった。この仲間と野球をやれて良かった」。この経験は、西村選手ら下の世代に引き継がれていく。(佐藤航)
9回裏のピンチを守り切り喜ぶ早実の選手たち
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